5人が本棚に入れています
本棚に追加
ー7月28日ー
「ふぁあ…」
まぶしい日差しに、少し寝苦しさを感じ起きる。
(あ、暑い……)
この部屋、朝になると窓から今寝ている位置に朝日が差し込んでくるようだ。
背中は汗をかいていた。
「…せっかく昨日風呂に入ったのに…」
そう言っても仕方ない。
時刻は07:13。
まあ早起きできたと思えばいいか。
布団をたたみ、起きてリビング(?)へ向かう。
まあリビングとはいえ田舎だから畳なのだが……。
こういう場合はなんと言ったら良いのだろうか。
客間か?
以下、客間としよう。
客間では、ばーちゃんが朝仕事をし終え朝食を食べていた。
「起きたかい」
そう言うと、座れとジェスチャーをしてくる。
「光一も食べな」
そう言うと、茶碗に大盛でご飯をわけて、俺に渡してくる。
「…ばーちゃん、朝からこんなに食えないよ…。」
茶碗の倍量をわけられ、さすがに高校生とはいえこの量を起床後5分で食べるのはきつい。
「どうせお代わりするんだがら、いいべした(いいだろう)?」
というと、有無を言わさず食わされる。
ところどころ言葉がなまっている。
仕方なしと食べるが…重い。
朝食のメニューは、俺もいるということもあり恐らくこちらも多め。
根菜の煮物…恐らく筑前煮だろう。
かぼちゃの煮つけ、ほうれんそうのお浸し、きゅうり多めのポテトサラダ。
(…え? これで、ご飯食べるの?)
見事にメインではなく副菜系のものばかり。
どうしろというのだろう。
何とか頑張って食べた。
俺が食べている間に、ばーちゃんは畑仕事に戻った。
ちなみにうちは、この時期『桃』の農家をしている。
これは食べながらばーちゃんに聞いたのだが、この島の桃といえば『あかつき』という品種で全国に販売しているブランドだが、うちでメインで育てているのは『紅国見(べにくにみ)』という品種だそうだ。
少し小ぶりだが、甘みが強く何より育てている農家が少なく希少種だそうだ。
(さてと…)
皿は自分で洗った。
実家ではこういうことは母さんがやってくれていた。
でもここはばーちゃんの家だ、迷惑は掛けられない。
心機一転、何でもできるようにしよう。
さて、ここから何をしようか。
ばーちゃんの手伝いもありだが、正直、素人の俺がやってどうにかなるんだろうかということだ。
「…まあ、適当にうろつくか」
新しい土地、早く土地勘が欲しかった。
なので、適当に走ってみよう。
体も動かしたかったので、トレーニングがてら散歩しよう。
(…まあ、トレーニングして何かに生かすわけではないけど)
最初のコメントを投稿しよう!