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こころが涙を流していくと、だんだんと透けていくのと彼女は言った。
その人は自由奔放な人だった。いつも楽しそうに自分の掴んだ幸せを嬉しそうに抱きしめて話す人だった。
彼はその人の涙を見たことがない。
一度も泣いたことのない人間なんていないだろう。いたとしても、極一部に違いないだろう。そもそも、生まれた時点で人間は産声と共に泣いているではないか。
その人が泣いたことのない一握の人間にある可能性はなくはないけれど、ひっそりと、他者の居ない何処かで涙をほろりと溢すことくらいはあるかもしれない。
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