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ふたりが二人だけで暮らしはじめてもう二十年以上は経つ。二人だけが残って、突然居なくなってしまった両親を守るように、二人だけでは広すぎる家に住みつづけている。
両祖父母や親戚は頑なに家を出たくないと言うふたりに対して寛容であった。ふたりが自立するまでの間、金銭的な援助を以ってふたりが両親と暮らした家を守る手助けをしてくれた。
他界した両親は温かい人たちだった。正確には血の繋がった両親ではなかった。櫻子と白亜も血は繋がっていない。二人ともに里子として引き取られた身内のない子供であった。
血の繋がらない二人をもれなく愛しつづける彼らの両親の在り方を親類たちは愛しみを抱きながら見守る。この家族の絆の在り方を受入れていた。
幼心に、大切な家族との出会いは、世界が広く輝くような感動を覚え、その感動は毎日毎日やって来る。そんな暮らしは、二人にとっても両親にとっても手に掴めないほどの宝物であった。そうして親類たちはその姿をありありと目にしており、この家族の在り方に誇りを覚えるほどであった。
ふたりが二人だけの生活に意味を抱いてから二十年以上、ふたりはふたりだけの少しだけ閉鎖的な時間を抱きしめつつ暮らしてきた。
親類は変わらずにこのふたりの絆を大切に見守る。閉鎖的過ぎるとは誰も思っていない。
閉鎖的ではないと言えるのは、周りから見たふたりの中にある感情がひとつだけではないからという意味があった。
誰もがふたりの幸福な先行きを願っている。
櫻子と白亜が望む幸福の道を。
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