5月のお茶会で僕らは

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「新入生の皆さんこんにちは。部長の深田千秋(ふかだ ちあき)です。 本日は親睦を兼ねたお茶会です。同じ席の人ばかりでなく色んな人と話してみてくださいね」 千秋が引っ込むと、メガネをかけたみどりが前に出てしゃべりだす。 「こんにちは、副部長の中村みどりです。今年も10人が入ってきてくれてとても嬉しいです。やまちゃんも男子が1人増えてうれしいでしょ」 黄色のガーベラを各テーブルに挿していた大和は急に話を振られても慌てずに 「ええ、それに編み物仲間も増やしたいので男女問わず人が集まったのはひそかな野望を持っている僕にはとってもいい環境ですね」 喜々として語る大和の顔を離れた席からじっとみつめる桜。 そんな彼女の視線には気づいていないのか花を挿し終えて、自分の席に戻る大和に 「ちょっと貴方も副部長でしょうが、挨拶して」千秋が言う。 「ええ~」ちょっと驚いた顔で千秋とみどりの顔を交互に見る大和に 「ほら、もう1人の副部長さん」と架空のマイクを向けてくるみどり。 「えっと、2年B組出席番号3番大沢大和(おおさわ やまと)です」 周りからはなんで出席番号??って声が上がり、それを聞いた大和も少し緊張した顔から一気ににこやかになって 「得意分野はお菓子作りと編み物です、どうぞよろしく。いつでも編み物仲間募集中」 言い終わると颯爽と席に着く大和に同じ席の大地が話しかけている。 「はいはい、自己紹介は右側から順番ね」 そうして自己紹介も終わりフリータイムに突入した教室内はざわざわとしているけど、大和の周りだけなんとなく落ち着くような雰囲気が漂っている。
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