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花になっちゃったナルキッソスは、
こんな子だったのかなあ、と
ふと奏は考える。
溺れるまで自分を見続けたナルキッソスと、
風邪をひきそうな濡れた服のままで
いつまでも自分を見ている巧と。
――たしかに巧くんは
ちょっと変わってるかもしれない。
ぼくには
言えそうもないことばっかり言う。
考えたこともないことを考えてる。
でも
もしかしたら
それは結構すごいことだったりして。
神様は
もうちょっと
その子のことを可愛がって
大人になるまで
待っててくれたら
よかったのに。
奏はそんなことを思って
ちょっと照れながら
自分の部屋の鏡で
ひとり
じっと自分の顔を覗き込んでみたりした。
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