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会議室のドアが勢いよく開いた。
皆の視線がドアに集中した。
一瞬、会議室は静かになった。
「京都府警 八代です」
アイドルスター登場のような、叫び声が一気にあがった。
「きゃー警察」
「ひゃー」
「京香さん!逮捕されるのぉ」
八代警部は叫び声が聞こえないかのように歩みを止めず、一直線に京香へ向かった。
京香は深々と頭を下げた後、震えながら両手を八代警部に差し出した。
「手を下げてください。あなたを逮捕しに来たわけではないです」
八代警部は意外な言葉をかけた。
後ろの長嶋刑事が思わず、えっと小さくつぶやいた。
そして、それは、とても優しい口調だった。
「前島部長」
八代警部が京香の横に立っている前島部長へ声をかけた。
「あなた、やってしまいましたね」
「ええええー、私は、私は、何もやってません。わっわっわたしは無実ですよぉ」
前島部長はわかりやすく動揺した。
「部長!」
涼子がお前かっと訳せる言い方で呼んだ。
「違う、違う、無実だ、私は、なんで」
八代警部は前島部長の前に立った。
「あなた、とんでもない事しましたね」
鋭い眼光で前島部長を睨みつけた。
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