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長嶋刑事、他、若手刑事は裏ドリのためリアルタイムで京香の自供内容をパソコンで
送信していた。
次々裏ドリ情報が上がってきた。
「警部、ケーキ屋を出たのは18時28分。
しかし、マンションの防犯カメラですがその日故障していたようです。検証できません」
「故障?そうか」
「周囲の防犯カメラの検証をしてますが、まだ、有力情報はないです」
小声で話す八代警部と長嶋刑事。
「それでは、神崎さんのマンションでの話を伺いましょうか」
八代警部は穏やかに話しかけた。
「……ごめんなさい。希美ちゃん」
京香はうつむいて泣いている。
「京香さん」
涼子は駆け寄りたいが、我慢しているのだろう。ずっと前傾姿勢で話を聞いている姿から感じられる。
八代警部は京香が話し出すまで待っていた。
「希美ちゃんは、キスをしていたのは間違いないと。そのことで、疑っているのかと言われて、私はカッとなって殴りました」
「殴ったんですか。そのあとは」
「希美ちゃんは倒れて……息をしていませんでした」
京香は両手で顔を覆った。
会議室にすすり泣きが響いていた。
「凶器は?何で殴りましたか」
八代警部の質問に固唾をのんで若手刑事たちは京香を見ていた。
「今、持ってます」
「えっ?」
刑事達は驚いた。死因は絞殺のはずだ。
京香は屈んで下に置いていた黒のトートバックの中を探ろうとして、フラつきよろめいた。
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