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涼子が駆け寄ろうとしたが、その前に鈴木室長が椅子を持ってそばに駆け寄った。
「京香ちゃん、顔色真っ青」
「信じられないわ」
「凶器って、ホントなの?」」
会議室内がざわついていた。
「みんな、静かにしなさい」
前島部長が叫ぶ。
「部長の声が1番うるさいです」
「あーすまない。グルルル」
「えっ、部長、今お腹なった?」
「最低」
「勘弁してください。もーこんな時に」
「お腹すく?こんな状況で信じられない」
部長のお腹の音で、一気に騒がしさが増した。
「わざとじゃないだろ」
「ロッカー間違えたくせに」
「それも、わざとじゃないだろ」
「開き直った。ヤダぁー」
騒がしさが収まらないのは、京香が犯人だと誰も思いたくない。凶器を見るのが怖い、悲惨な現実を受け止めきれない、不安を和らげたい深層心理からかも知れない。
鈴木室長は京香の背中をさすっていた。
少し座っていたら気分が落ち着いたのか
「だっ大丈夫です」
京香は立ち上がって鈴木室長に頭を下げた。
京香の言葉で会議室にやっと静寂が訪れた。
「これで、殴りました」
京香が手にした物はビニール袋に入っているた。ナイフのような大きさで銀色に光っている。
「京香さん、それって」
涼子は立ち上がっている
「美顔ローラーね」
美咲があきれた声で説明した。
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