桐島隆と美咲の結婚

25/32
前へ
/34ページ
次へ
 涼子が駆け寄ろうとしたが、その前に鈴木室長が椅子を持ってそばに駆け寄った。   「京香ちゃん、顔色真っ青」 「信じられないわ」 「凶器って、ホントなの?」」  会議室内がざわついていた。 「みんな、静かにしなさい」 前島部長が叫ぶ。 「部長の声が1番うるさいです」 「あーすまない。グルルル」 「えっ、部長、今お腹なった?」 「最低」 「勘弁してください。もーこんな時に」 「お腹すく?こんな状況で信じられない」 部長のお腹の音で、一気に騒がしさが増した。 「わざとじゃないだろ」 「ロッカー間違えたくせに」 「それも、わざとじゃないだろ」 「開き直った。ヤダぁー」  騒がしさが収まらないのは、京香が犯人だと誰も思いたくない。凶器を見るのが怖い、悲惨な現実を受け止めきれない、不安を和らげたい深層心理からかも知れない。    鈴木室長は京香の背中をさすっていた。  少し座っていたら気分が落ち着いたのか 「だっ大丈夫です」  京香は立ち上がって鈴木室長に頭を下げた。  京香の言葉で会議室にやっと静寂が訪れた。 「これで、殴りました」  京香が手にした物はビニール袋に入っているた。ナイフのような大きさで銀色に光っている。 「京香さん、それって」  涼子は立ち上がっている 「美顔ローラーね」  美咲があきれた声で説明した。  
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加