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「京香ちゃんヤリメイで公子さんに、キスをしていたのは美咲さんでしょって詰め寄られていた時……気がついたのよね」
京香は目を見開いて美咲を見つめている。
「詳しく言うと、私が、節分お豆ちゃんランチの恵方巻を、北北西を向きながら食べてた時」
「えっ、あの時、何があった」
涼子は必死であの時のヤリメイを思い出していた。
「テレビで希美ちゃんがインタビュー受けていた。清水さんのお墓参りに行く時だったわ。白い百合の花束を持つ希美ちゃんの左手の薬指にターコイズのブルーが輝いていた」
美咲は表情を変えずに淡々と話している。
「京香ちゃんの彼氏は彫金師。一緒に展示会に行ったこともあったわね。曲線が美しくてこの指輪もその時買ったのよ」
美咲はまだ、表情を変えていない。
だが自分の指輪を見せた時、、、
少しだけ指先が震えていた。
「あの時、希美ちゃんが、京香ちゃんの彼の相手だってことに気づいたのね」
美咲は京香を優しい眼差しで見つめながら確信をついた。
「えっえっえっそんなっ」
「二股?」
「どうなってるの」
会議室がざわつきだした。
「京香さん……も」
涼子は胸の奥にグサッと音を立てて
何かが刺さった。
希美への憎悪かもしれない。
「希美ちゃんのマンションへ行ったのは、そのことを確かめたかったから」
京香は顔を覆って我慢できずに泣きだした。
「でも、余計に田口京香さんが神崎希美さんを憎んでいた。殺害動機が深くなりますね」
長嶋刑事の中で、また、京香犯人説が浮上していた。
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