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「八代警部、神崎希美さんに関してです」
若手刑事が情報を上げてきた。
「神崎さんのご両親は他界されてます。
姉が1人。結婚して東京で暮らしています。
姉はあの事故後、しばらく看病のため神崎さんのマンションに滞在していましたが3月5日東京へ戻ってます。
神崎さんがご自身が大丈夫だと言ったそうです。
それから、日本を離れてゆっくり海外に行きたい。少しそっとしておいて欲しいと。ですから、連絡を控えていたそうです。姉は海外へ行っていると思ってました」
八代警部は厳しい顔でじっと聞いている。
「神崎さんのマンションですが、室内がひどく荒らされています」
「荒らされている?」
「はい。物が散乱していまして、鑑識もてこずっています。神崎さんの部屋は一階でベランダの鍵が開いていたそうです。空き巣の可能性もありますが。防犯カメラは3月10日から12日までは故障していたので録画できてませんが映像解析で今のところ不審人物はいない模様ですが、住民へ確認しています」
「そうか。ありがとう。わかった」
八代警部は顔を覆っている京香を見つめていた。
「警部、田口京香さんの彫金師の彼のこと
調べるべきですね。名前聞きましょう」
「待て、まだ、話の途中だ」
「は……い」
長嶋刑事は納得できないようだった。
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