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涼子は美咲の推理に疑問を持っていた。
「希美ちゃんならやりかねない。確かに京香さんの彼を略奪しそうだけど。でも、ほんとかな。清水さんがいたんだから」
泣いている京香を見て心が痛んだ。
「美咲さん、真実を明らかにしないと京香さんが犯人にされるって言ってたけど、彼を略奪されたってなったら、ますます京香さんへの疑いが深くなるじゃないの」
涼子はあの日のヤリメイを必死で思い出していた。だが、タラコスパを吹き出したこと
が邪魔をして、京香の表情は思い出せなかった。
美咲は演台に左手をついて、右手は腰に。
演台からチラリと見えた細く長い右脚から
自信が垣間見えた。
「美咲さん、違います。彼は関係ないです。
希美ちゃんがターコライズの指輪をしていたなんて知りませんでした……最初に言った通り私の証言のことで口論になったんです。
私が殺しました」
京香はうつむいたまま美咲の推理へ反論した。
右脚をサッとひっこめた美咲は、またマイクへ向かった。
「そう。わかった………でも、ああああー
イラつくっ」
美咲は厳しい眼差しで見つめていた。
「何?まだ言いたいことあんの?」
「あっあっすいません。えーと」
「はっきり言いなさいよ」
「希美ちゃんがターコライズの指輪してたぐらいで、ちょっとー強引かなと。清水さんがプレゼントしたかもしれないですし」
「そう。じゃまだ続くから、耳の穴かっぽじってよーく聞け。このバカ女っ」
ひぃぃー。涼子はまた撃沈した。
さっきから美咲がイラついていた相手は
手を上げていた涼子だった。
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