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「この事件は、嫉妬の糸を解かないといけない。そのためには鋭い真実で切らないといけない」
美咲は柄にもなく、強い正義論を主張したその後、京香の元へ歩いて行った。
「京香ちゃん、すごくブスよ」
ハンカチを渡した。京香の頬が少し緩んだ。
「美咲さん、いつも一言多い。素直に渡せばいいのに」
涼子は聞こえないような小さな声で呟いた。
美咲はまたマイクの前に立った。
「去年のクリスマスイブ。覚えてる?」
涼子は美咲と目があった。私に聞いてる?
「あっはい。新商品展示会があって、土曜出勤でしたよね。あの日。急にヤリメイがテレビ生放送することになるので残業しました」
「……。」
「えっ、あっ、すいません。希美ちゃんですね。デートだって聞きました」
美咲は一言も発せず眼力だけで
「オメーのことじゃねーよ」と言った。
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