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「会議室で事情聴取を待ってる時、涼子ちゃんが言ったのよね。希美ちゃんはクリスマスイブ、デートだから残業しなかった。だから、清水さんと付き合ってたんでしょって」
美咲が涼子の発言の補足をした。
「はい、そうでしたが、あの時公子さんに
清水さんは同僚と飲みに行ってたって情報出されて、えっじゃあ、誰と……えっ」
涼子は思わず口に出しそうになった言葉を飲み込んだ。
「京香ちゃんはヤリメイ残業残らなかったわよね」
美咲はすぐ京香へ話をふった。
「……はい」
「彼と食事に行くって。行ったの?」
京香は美咲のハンカチを、両手で握りしめながら黙っていた。
「北山にある、ドゥ ローピュールに行くって言ってたわね」
「彼と食事しました」
京香はうつむきながら答えた。
「京香ちゃんはイブ残業してくれた4人へ、お菓子を買ってきてくれた」
また、涼子は美咲と目が合った。
私に聞いてるよね。何、何言えばいいの。
「えーと、京香さんから、ごめんね。ありがとうって頂きました。
キャラメルナッツが間に挟んであって、キャラボックスクッキー。めちゃくちゃ美味しかった、あのバラの形のチョコも
食べるのもったいないなーって、でも食べちゃいましたけど、あと…」
美咲の顔を見て、涼子は血の気がひいた。
「恐っ、めちゃ睨んでる」
違うの?何食べたか聞きたいんじゃないの。
「ええーーと」
涼子は美咲の眼力の意味を探ったが
わかるわけない。美咲の口元が動いてる
エッなに、なに、
「ど つ く」
「ひぃぃー」
「バカっ、どこの、よ」
「はいっ、シルフのお菓子です」
涼子は食い気味に慌てて答えた。
「シルフは伏見稲荷の近く。京香ちゃん、
北山に19時食事行くのに、わざわざ
会社から逆方向の伏見稲荷までお菓子買いに行く?」
「……次の日に買いました」
京香はささやくように答えた。
「あのお菓子。クリスマスイブ限定よ。あの日しか売ってないの」
京香はまた黙ってしまった。
「京香ちゃんには出来ない。白を黒にすることは」
京香はまた、涙が溢れてきた。
「希美ちゃんは殺されたの。冷たい深泥池に
沈められていた。京香ちゃんが犯人といえば
解決できるわけない」
美咲は厳しい口調だった。
涙を拭った京香は小さくうなずいて、美咲の代わりにマイクの前に立った。
「私は嘘をついてました。申し訳ございませんでした。希美ちゃんを殺していません。全てお話しします」
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