1.結愛

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三回目の交際の申し込みをしようと呼び出した時、本題を切り出すまでもなく、彼女は泣き崩れた。 「ごめんね……。ずっと優柔不断で」 映画を観にいった帰り道だった。なんの前触れもなく彼女は涙を見せ始めた。 「ちょっと休もうか」 近くにベンチがあったのが幸いだった。人通りの視線から遮るように、彼女の視線をハンカチでそっと隠した。 「本当に好きなんだね……私のことが。なのに、私ずっと悩んでばっかで、これじゃずっと君が可哀想だよね」 「ごめんな。何か気に触ることでも言ったか」 「ううん。大丈夫」 震える彼女の肩にゆっくりと腕を回した。 「ねえ、もう決めたから」 「決めた?」 「私と付き合ってください」 「……ありがとう。もう君のこと悩ませるのは最初で最後にするから」 まさか相手から言われるなんて想定外だった。 ”お前の考えるストーリーなんて裏切られて当然だ。” あいつの笑い声が頭を過る。 難解なパズルに挑戦したものの上手くいかず、自棄を起こして適当にピースをはめたつもりが完成させてしまったかのような、達成感よりも不思議さが勝ってしまう状況に陥った。
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