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「よくこのお店にいらっしゃるんですか」
「はい、これはもうよく来るんですけど、まさか日暮さんも来ているとは思いませんでした」
彼女との敬語で話しながらも、クリーニング店出会う時の社交辞令の笑みとは違い親しげなもので、この偶然の出会いを楽しんでいるようだった。
彼女が楽しんでくれるなら、こちらの冥利に尽きる。今日は酒も美味いだろう。俺はカウンターの向かいで微笑むマスターを呼ぶ。
「アメリカンレモネードをください」
「意外と可愛いの飲むんですね」
「いえ。あえてギャップをお見せさせていただきました」
そこで、俺も表情を崩すと彼女もつられるように緩んだ頬をより一層引き伸ばして、二人で笑い声を上げた。
それから彼女と毎週末ここで飲むのが、恒例となった。
ここまでの関係にまで進展できたんだ。
交際にまで持ち込めるのも時間の問題ともいえる……
はずだった。
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