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レインがタマゴから出て来ない
朝になったが、レインは卵の中から出てこない。ピイピイ、と甘えた声で鳴くので、ニッキはグリンの頭のてっぺんから生えている虹色の葉っぱを千切ってレインにあげた。レインは一日中、卵から出てこなかった。
「レイン、お父さんとお母さんが恋しいのかな?」
ニッキはグリンに聞いた。
グリンは首をかしげた。
レインは道端に落ちていた卵を、グリンとニッキが(ほとんどグリン)が温めて孵したのだ。レインはお父さんとお母さんに会ったことはない。
数日が過ぎても、レインはちっとも卵から出てこなかった。だんだんグリンの葉っぱも食べなくなり、いつもうとうとと眠っているようになった。まるで卵が孵る前に戻ってしまったようだった。
「レイン、仲間の鳥の所に行きたいの?」
ニッキはレインに聞いた。レインはまぶたを半分持ち上げた。
「レイン、卵から出ておいでよ」と、卵のカラからレインを出そうとすると、嫌がってキイキイ鳴いた。
「レイン、どうしちゃったのかなあ? 卵を持って帰ってきてから、変だよね?」
「うん、変だな」と、グリンが答えた。
「リードッグの所に行ってみようよ。何か知っているかもしれない」
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