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グリンとニッキは、卵に入ったレインを持って、モノの山に行った。
「レインが変なんだ」
ニッキが言うと、リードッグはうなずいた。
「やっぱりな」
「だから卵のカラを返しに来たんだ」
「レインが自分で卵のカラから出てこないと、受け取れない。そういう仕組みなんだ」
「レイン。ご飯を食べないのは心配だから、レインが行きたいところに連れて行ってあげるから、出ておいで。もしかしてレインがいなくなっちゃうとしたら、とってもさみしいけど」
というと、ニッキの目はふちまで涙でいっぱいになった。
レインは閉じていた目を開くと、首をのばしてニッキの涙をくちばしでちょんとつついて、こくんと飲んだ。
するとレインはちょっと大きくなった。そして卵にヒビが入ってパリンと割れた。
「あっ! レインがもう一回、生まれた!」
ニッキが叫んだ。レインは羽をパタパタさせて、卵の殻から飛び立つと、ニッキの頭の上をくるりと飛んだ。
「割れちゃったけど、卵のカラ返すよ」とニッキが言うと、リードッグは首を振った。そして目で割れた卵を指した。
卵は虹色の砂になって、さらさらと風に流されていった。
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