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「わあ。綺麗だね。レインの卵」
ニッキが叫んだ。
「ゴミじゃないって、わかったろ? ちゃんと卒業すると、ここにあるモノは砂になって風に消えていくんだ」
ピピッとレインが抗議するように鳴いた。リードッグはにやりと笑った。
「そうだな。ここに、」とレインの胸をトントン、とグーの手で叩いた。「大事なものは、消えずにちゃんと残ってる」
「じゃあ、ここにあるのはまだ卒業できないモノたちなの?」
「そうさ!」
「それじゃあ、返した方がいいんじゃないの?」
「そんなことないさ。ほら、見ろよ!」
リードッグが指さした方を見ると、モノが積み重なった間から、光る砂が煙のように立ち昇り、風にのってさらさらと流されていくところだった。
「ほら、な。目に見えない方がいいんだ。そばにあるとレインが卵のカラに捕まったみたいに、モノに捕まっちゃうんだ。大事なものは、卵をかえすみたいに、胸の中であっためておくんだ」
「じゃあ、リードッグはどうしてここにいるの?」
「だって、誰か見ている人がいなきゃ! それに、ほら」
リードッグは一本の木を指さした。木の陰から、ちいさな頭が覗いている。
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