ゴメンねのそのあとは

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 「いいや。扉の前に落ちていたんだ」グリンはいつもと同じ顔、つまり仏頂面で言った。「落ちていたんだから、お礼を言う必要もないんだ」  「オイラのモノの山の前にも、ヘーゼルナッツがこんもりひと山、落ちていたよ」  リードッグも言った。  「なぜ大人の動物がくれたってわかったの?」とニッキはカメレオン店長に聞いた。  「ああ、それはね……、はしばみはごめんね、っていう意味だからさ!」  カメレオン店長は、くるりと体の色を変えて言った。グリンはお腹の毛をごしごしとこすった。お腹の中がくすぐったくなったからだ。リードッグは胸の前に組んだ手をせわしなく組み替えた。  虹色になったカメレオン店長は、動物たちに聞いた話を聞かせてくれた。  「リスの兄妹の家では寝る前に、お父さんが小さな鍋でミルクを温めて、兄妹に飲ませるようになったらしい。するとミルクの入った虹色のマグカップから、優しい音楽がちいさくちいさく聞こえてくるそうだよ。懐かしいおばあちゃんのハミングのような音楽に耳を傾けているうちに、リスの子供たちはことりと寝てしまうんだってさ!」  「ぼくも寝る前にホットミルク飲みたいな」  ニッキが言った。
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