ニッキ、怒る

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 ニッキはグリンのまわりをぴょんぴょん跳ねた。グリンの頭にとまっているレインは、瞳をきょときょとと動かして、跳ねるニッキを目で追いかけた。  「雨だから、カメレオン店長の喫茶店に行こう」  グリンはお弁当を赤いチェックの布で包んで持った。そして木の扉を開けると、お弁当を持った手とは反対側の手で、大きな葉っぱを傘代わりに持った。  ニッキは傘からはみ出ないように、グリンの長いお腹の毛につかまった。レインはグリンの頭の上に乗ったままだったので、虹色の羽が雨に濡れることはなさそうだ。  一匹と一人と一羽は、カメレオン店長の喫茶店にやってきた。雨の日はお休みだが、カメレオン店長はグリン達が雨の日に訪ねてくるのを楽しみにしている。なぜかというと、他のお客さんを気にしないで、友達に会えるからだ。    「やあ、来たね」  カメレオン店長はあいさつ代わりに体の色を虹色に変えた。  「来たよ! お弁当を一緒に食べようよ!」  「それは嬉しい。ではクリドルの葉っぱでお茶を淹れよう」とカメレオン店長は、戸棚から缶を取り出した。そして大きな薬缶を火にかけた。
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