雨下がりの午後に

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「どうして今日みたいな日に限って降ってくるかなあ」 高層ビルが立ち並ぶビジネス街。その一角に佇む露店の軒下で、少年は空を見上げながら言った。 空から落ちてくる無数の雨粒。その元凶である分厚い雲は、まるで少年の気持ちを体現しているようだ。 しかし一方で、隣に佇む幼い少女は淡々としていた。 「午後から雨が降ると、天気予報でいっていたぞ」 「は!?いつ!」 「今朝」 淡々と話す少女の言葉に、少年は項垂れる。 「おまえな……、知っていたなら先に言えよ。最初からわかっていたら、外出なんてしなかっただろ」 「……無理矢理連れてきたくせに、よくいう」 少女に目的以外の興味がないことを、彼は知っている。にも関わらず、少年は時間が空く度少女を外へと連れ出していた。 しかしどうしたものか。傘を買おうにも、近くに雑貨屋は見当たらないし、住まいである施設へ戻ろうにも、ここからでは距離がある。 少女だけであったなら、戻ることも容易だっただろう。しかし少年といては、それも叶わない。 少女に頼んで傘を取りに行ってもらおうかとも思ったが、彼女のことだ戻ってこない可能性もある。 ここは大人しく、雨が弱まるのを待つしかないだろう。 「雨、止まないな」 「……」 少年が声を掛けてみるが、相変わらず無関心といった様子で反応がない。 ただ茫然と、空を見上げている。 暫しの沈黙の中、雨音だけが虚しく響いていた。
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