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「そうなんだ…
俺はそれが怖くて…
……で、でも!もう少しで幸せになる筈のスージーがあんな殺され方をするなんて…
……だめだ、だめだ!そんなこと許されねぇ!やっぱり、助けなきゃ!」
テーブルのエレスチャルに向かって伸ばされたジュリアンの手を、エレスが捉えた。
『おまえは言った筈だ。
あれからずっと考え、その上であの力を返したいと…
それなのに、気が変わったというのか?』
ジュリアンは、すぐには口から飛び出さなかったその答えを、頭の中で…そして心の中で考えた。
「……あぁ、そうだ!
やっぱり俺はスージーを助けたい!
スージーをあんな目に遭わせたくない!」
『この前のように失敗しないとも限らんのだぞ。
スージーの運命を捻じ曲げるということは神の意思に反することかもしれないのだぞ。』
「……それでも…それでも…俺はやる!
それが俺の罪になるのなら…俺は地獄でもどこでも行ってやるさ!」
エレスは、ジュリアンの真っ直ぐな瞳を真正面からじっと見据える。
『そうか…おまえにそれだけの覚悟があるのなら、私には何も言うことはない。』
「エレス…」
『…最善を尽くせ…』
エレスは、ジュリアンに向かい穏やかに微笑んだ。
「お…おうっ!
絶対に…俺は絶対にスージーを助ける!
他の誰も死なせやしない!」
その言葉にエレスは黙って頷いた。
ジェリアンは、エレスチャルを両手でしっかりと握り締め、想いの丈を祈りに変えた。
(エレスチャル、頼む!…どうか、どうか俺にもう一度チャンスをくれ!
スージーを助けるチャンスを俺に…!!)
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