看板のない紅茶屋さん

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 制服の長袖シャツを腕まくり。  ズボンのポケットに突っ込んだ財布。  手にはメモ帳を映しているスマホ。  道端の木の陰に入って、一旦停止。 「なーんで俺、じゃんけん負けたかなぁ……」  夕方にはまだ遠い放課後の途中。  二つ入っている部活動の一つ、生物部の活動中に買い出し班として負けた俺。  まだ学校の周りは駅までの道しかあんま通らなくて、この辺りは未知の道。  夏休みが終われば夏も終わりなんて思ってた時期もあったけど、暑い。  もうじゃんけんでチョキは出さない。  メモ帳には、お菓子とお茶っ葉。  葉っぱってどこで売ってんだろう、と貰った地図もスマホで見てうろうろしてるわけだけど。  軽く迷子──勘弁して。  日向に反射するスマホ画面に手で影を作って確認。
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