看板のない紅茶屋さん

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 合ってる……通りの裏?  いわゆる路地裏。  人がひとり通れるくらいのやや影の道を進んでみる。  一人だと、ちょっとびびる感じ。  でも、影のおかげでちょっと涼しい気持ち。 「……道の突き当たりに、店?」  現代のコンクリートっぽい建物じゃなくて、ファンタジーの木造の家っぽい、そんな店があった。  古いレンガ作りの壁、焦げた色の木の扉。  看板は──ない。  ここだけ何故か陽当たりがよくて、俺は黒い鉄のドアに手をかける。 「……こんにちはー……」  重い錆びたドアベルの音と共に、店内が目に飛び込んできて、鳥肌が立った。  良い意味で。  やべ……写真撮りてぇ……っ。
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