看板のない紅茶屋さん

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 言葉? 「……お茶っ葉?」 「何も聞いてないんだな」  行く前、ひと癖ある三年の眼鏡の先輩にはこう言われた。  楽しんできて、そしたら僕らも楽しいから。 「なんか、おもしろい事が起きる、的な」  つまらない事は起きないと思う。 「いいね。じゃあこうしよう」  どうせ葉の種類も聞いてないんだろ? と彼女は言う。  っていうか、こいつ言い方がフランク。  っていうか、俺もだけど。 「あたしの裏にある缶、どれでもいい、選んでみて」  黒っぽい缶の中は紅茶の葉っぱが入ってるらしい。  紅茶は飲むけどわからん。  こういうのは味とか匂いとかで決めるんじゃねぇの。
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