(三)

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(三)

 翌朝、私はあなたの家に来た。玄関まで来た。そして合い鍵で鍵を開けてドアを開けたわ。  玄関にはあなたの靴があった。そしてその隣に黒のヒールの靴が並べてあった。  お義母さんがいらっしゃっているのかしらと思って、玄関を上がった。そしてキッチンのついた廊下を進み、突き当たりの部屋のドアを開けた。  1Kの部屋だから、そのドアが開ければもうあなたのベッドルームだった。そしてあなたは、自分のベッドにいた。……裸で。  裸のあなたは誰かに覆い被さっていた。下にはベッドで足を広げてあなたのものを受け入れている誰かがいた。それを見て玄関の黒いハイヒールは、あなたのお義母さんのものではないということがわかったわ。  あなたは腰を振っていた。無我夢中で。ずいぶん情熱的だったわね。まさか私ではなく私以外の他の女に愛の行為をしているあなたの背中を、鏡越しなどではなく肉眼で見ることになるとは、私は全く思わなかったわ。  私が部屋に入ってきても、あなたたちは私に気づかなかったわ。あなたたちの荒い吐息が部屋の中に響いていたもの。他の音は聞こえなかった。  やがてあなたは最高潮を迎えた。そしてベッドに膝立ちになり、装着していたゴムを外してベッド脇のゴミ箱の方へ投げた。ゴミ箱の周囲には、使用済みのゴムがいくつも散乱していた。数からすると、一晩中していたみたいね。あなたが投げたそれは、ゴミ箱には入らずに手前で落ちた。床に落ちるときに逆さまになったため、ゴムから白い液体がこぼれ落ち、カーペットを汚してしまった。あなたが大学を卒業するときに私も一緒に選んだグリーンのカーペットに。ダメじゃない、ちゃんとゴミはゴミ箱に入れなくちゃ。前から言っていたのに。染みになってしまうわ。  再びあなたを見ると、あなたはベッドに倒れ込んでいた。そして横たわる女にキスをした。何度も、何度も、そして何度も。 (続く)
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