気弱な僕の花言葉の話

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花には花言葉という物がある。 しかし調べれば調べる程、一つの花には複数の言葉、想いがある事に困惑する。 間違って想いを伝えてしまったらどうしよう。 本当にこの花を贈るべきなのか? 不意にそんな話をしたら友人の晴耕に言われた。 「想いに勝る言葉無し」 成程、一理ある。 が、そもそも想いが伝わるかどうかすらも不安になる。 自分に自信がないからだろうか? そんな事を考え出すと一晩中考え続けて朝を迎えた。 おまけに仕事で居眠りして怒られるし。 「考え過ぎだろうか?」 思わず昼食時に口走ってしまい同席の先輩に笑い飛ばされてしまった。 僕は少しムッとしつつ自分の愚かさを嘆いたが、先輩は優しく僕に教えてくれた。 「想いを伝えるってさ難しい。でもさ本当に伝えようと苦労するのはいい事だよ。僕にもそんな事に悩んで、失敗して今の僕があるのだから」 そう言って照れくさそうに結婚指輪を撫でる仕草に少しうるっとした。 そうなんだ花言葉だってきっと誰かが作った言葉。 いや想いが連綿と重なって生まれたモノ。 根底にあるのは想いなのかもしれない。 近しい隣人であったり、親類縁者であったり、尊い人であったり、大切な人であったり。 そんな人達に秘めて贈る想い。 まぁ時には悪意もあるかもしれないけれども。 だから僕は今度、晴耕にあったら言うつもりだ。 「想いを伝える為の努力に勝るものは無し」 ただ、想いだけを押しつけがましく伝えようとするのとは違うけれども、そうして努力する事も大切だと思う。 たとえ伝わらなくともね。
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