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「それじゃ、またな」
彼女から離れ、頭を撫でてやると小さく頷く彼女。
俺は仕事部屋を出て軽くシャワーを浴びてから、スーツへと着替えた。
今日も仕事か…。
いつもやる気なんて無かったはずが、今は何故か──何かの為に働かなくてはと思うようになった。
あのカードを渡したのは結構大胆なことをしたな、なんて思うけれど、彼女をこの場所に留めておく為、他に方法が思いつかなかったのもある。
別に、それで逃げられたってもいい。
俺はちょっとわくわくした気持ちで、マンションを後にした。
***
「ちょっと和泉チーフ!昨日のアレは一体何だったんですか!」
出社するなりデスクの椅子に座ってパソコンを立ち上げた瞬間、噛みつくようにして声をかけてきたのは昨日仕事をぶん投げした部下──久遠だった。
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