彼女の名前

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「あ?」 せっかく上機嫌で出社できたと思った矢先──これだもんな。一気に不機嫌さマックスで俺は久遠を睨みつける。 「え、いや…だから、その…」 「ちゃんと考えて発言しろ。分かったな?」 「す、すみません」 久遠は俺の部下であり、仕事が早く且つ愛想もいいからこの仕事に向いている──と見込んだ俺が唯一信頼している人間だ。 久遠にだけ、かなり厳しく仕事を教え込んでいた為、営業部ではエースともいえる存在なのだろう。 実際、月ごとの取引先確保率も久遠だけが数値を上回っているのだ。 まあ…たまにこうして突っかかってくることもあるが。 俺はそんな久遠を見て、良いと思ったのが本音。 大体の部下は媚を売ろうとしてきて、正直面倒くさい。
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