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終わりは、始まり
「なあ、ミディア……」
「ん? なに?」
最後の闘いで満身創痍な俺を支えてくれる彼女が、優しく聞き返す。
俺は、ミディアをはじめ、周りにいる仲間達を見渡しながら、今から叶えたいことを静かに口にした。
「学園を、造りたい」
「えっ? が、学園?」
ミディアが目を丸くしながら見つめてくる。
「そう、学園。皆と一緒に造りたいんだ」
そう言う俺に、ミディアは、少し考えた様子をみせた。そして、優しい笑みを浮かべた。
「うん、いいね。私も、ムラカミと一緒に、学園をつくりたい。皆も賛成してくれると思うよ。どこに造るの?」
「ここに、建てたいんだ」
「え? ここ?」
「そう」
今や見る影もない瓦礫の山となった城、そして、高原が辺り一帯に広がるこの地で、俺は、新しい学園を造りたいと思ったんだ。
ミディアが優しく声をかけてくる。
「そっか、うん。私もいいと思う。……ねえ、ムラカミ」
「ん?」
「学園ができたらさ、私ね―」
ミディアのその言葉を聞いて、すごく嬉しかった。そのことを俺は、勝手ながら望んでいたから。
「これからもよろしくね、ムラカミ」
少し照れているミディアに、俺は笑った。
これからも俺は、異世界で生きていく。
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