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ベッドから飛び起き階段を駆け降りると母は、味噌汁をかき回していた。
「おはよう智也」
「母さん!僕、殺されるよ」
母は不思議そうに見たあと、クスと笑い
「怖い夢でも見たの?もう五年生なんだから、しっかりしてちょうだい」
「夢なんかじゃないよ! 本当だってば」
「もういいから、早く座って食べちゃって、学校に遅れるわよ」
のんびりした母にヤキモキしながら
「ちゃんと聞いてよ! 僕、ピエロのマスク被ったヤツに殺されるんだってば、夢で、夢て言うか、とにかく、殺されるんだ」
母は、ふーとタメ息をつくと
「智也! いい加減にしなさい! 母さん怒るよ、ちゃんと貴方は生きてるでしょ、もう寝ぼけて」
「違うんだって」
僕は泣きそうになりながら説明をしようとするが、どう説明しても、こんな話、理解出きるわけないのは当たり前だ。
母に分かって貰うのを諦め、僕は仕方なくテーブルにつくと
「父さん、明日、出張先から帰るそうよ」
僕が何も答えないと母は
「それでね、外に食事に行こうと思うの、いい?」
「わかったよ」
僕は不貞腐れたまま、そう答えた。
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