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ちゅっ、っと首筋にキスを落とされてビクリ、と肩が震えた。嗚呼なんだか物凄く情けない。
「つか奈緒って嫉妬とかしてくれるんだね。」
クスクス、と笑って言うそれに、それはどういう意味だ、と眉をしかめれば沖はやけに甘ったるい声で言った。
「んー。何か奈緒って淡泊っつーか、何か嫉妬とか意外?俺的には超嬉しいんだけど。」
ぎゅうっ、と抱きしめられてスッ、っとイラつきが消えた。何だか凄く今さっきの自分が馬鹿馬鹿しい。
「美奈子さんに乗り替えるとか止めてね。」
ちゃかすように言えば更に沖の腕の力が強くなった。
「乗り替えるワケねぇだろ。」
痛いぐらいに抱きしめられて無性に嬉しくなる。思っていた以上に自分は沖に絆されてしまっているらしい。
ふふっ、っ笑って沖の腕からスルリ、と抜けた。
「リビングに戻ろ。美奈子さんに怪しまれちゃう。」
上機嫌で言えば沖はククッ、と喉を鳴らして笑う。その沖独特の笑い方好きだ。
「んー?大丈夫じゃね?今飯作ってるし。」
ヘラッ、と笑う沖に、そーいう問題じゃないだろ、と笑ってリビングに戻った。
美奈子さんはキッチンで夕ご飯を作っていて寝室から出てきた俺達を見るなりニヤリ、と笑う。
「イチャつき厳禁よ~」
ニヤニヤ笑う美奈子さんにばつが悪い。全然大丈夫じゃないじゃないか、と沖を肘でつつけば沖も苦笑いを浮かべた。
嗚呼もう美奈子さん何かやだ。恥ずかしくて頬を赤く染めれば美奈子さんがまたニヤリ、と笑った。
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