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「おかえり~奈緒君」
土曜日は沖の家に泊まって日曜日はひとしきりいちゃついて日曜日の夜に自分のマンションに帰れば玄関で満面の笑みを浮かべた美奈子さんが立っていた。
「...なんでいるの?」
理由なんて大方予想はついているけれどあえて聞けば美奈子さんは、またまた~、というように意味あり気に言う。
「分かってるクセにも~。沖君と上手くいったんでしょ?姉に報告はないのかしら?」
なんでわざわざ、と眉をしかめれば美奈子さんはムッ、としたような顔をした。嗚呼コレはきちんと報告をしなければ離してくれそうにない。
「...話さなきゃ駄目なの...?」
「あたりまえでしょ!」
そう返されたらもう黙るしかないだろう。
美奈子さんはもう聞く気満々だし聞くまで絶対帰らないだろうし、もうとりあえずは絶対に話す事になるんだからここは素直に報告した方が面倒くさくならなさそうだ。
「...とりあえず家入っていい?俺まだ靴も履いたまま。」
「しょうがないわね~。ホントは今すぐにでも聞きたいところだけど。さ、早く入って。」
「...ありがとう。」
...なんて思わず言ってしまったけれどここは俺ん家なワケで根本的におかしい気がする。何故美奈子さんが俺の家に俺を招いているのだろうか。
あぁ、もうホント美奈子さんには適いそうにない。何だかんだ言ってお世話になってるし迷惑かけてるしで逆らえないのだ。
俺はふぅ、と小さく溜め息をついてから靴を脱いだ。そしてリビングに行って荷物を置いてソファーに座ったら美奈子さんがココアをいれてくれてそれを飲んだ。
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