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「で?どうなったのかしら?」
ニヤニヤと聞いてくる美奈子さんに居心地が悪い。なんか、こう、...恥ずかしいのだ。
ココアをすすりながら美奈子さんに先ほど玄関で聞いた質問をもう1度した。
「...話さなきゃ駄目?」
「あたりまえでしょ、ってさっきも言ったわよね?」
にっこり、と笑って言う美奈子さんにもう逃げられそうにない。俺は意を決してポツリポツリと話し始めた。
自分の恋愛を話す事がこんなにも恥ずかしいなんて知らなかった。よく教室とかできゃっきゃきゃっきゃと恋バナをしている女子達は恥ずかしいなどとは思わないのだろうか。
羞恥を堪えながらもひとしきり美奈子さんに話し終えれば美奈子さんは満足そうに笑った。
「よかったじゃな~い。安心したわ~。だって奈緒君恋人なんてできないなんて言うんだもの。」
よかったよかった、うんうん、と頷いている美奈子さんに恥ずかしくて死ねるかもしれないと思う。頬を若干赤く染めて俯いた。ココアを見つめて照れ隠しをする。
(なんだコレなんだコレ。)
下唇を噛んで悶えていれば美奈子さんは面白そうに言った。
「今度沖君に会わせてね。この間のままじゃ感じ悪いし。」
ね?、と問いかけてくる美奈子さんに絶句する。あ、会わせろだなんて一体この人は何を考えているのだろうか。
「...嫌だよ。」
そう言えば美奈子さんはムッ、としたように唇を尖らせた。嗚呼嫌な予感しかしない。
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