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放課後沖と一緒に俺の家に行く事になった。美奈子さんは俺の家で待っているらしい。そして今は下校中である。
「俺奈緒ん家行くの初めてだな~。」
「そうだね。歩いてすぐだよ?」
マンションはなるべく学校から近いところを選んだ。だって電車とか早起きとか面倒だったから。
「家賃どうしてんの?」
「ん?家賃?親が払ってくれてる。放任だけどお金だけは払ってくれるし。」
「うへぇ。なんだソレ。」
呆れ気味に言う沖にそんなもんだよ、と返事をした。まぁ、お金を出してくれるだけマシである。
その後はたわいもない会話を繰り返して俺の住むマンションに着いた。
「なんか緊張すんな。」
部屋の前、そんな事をボソリ、と沖が呟く。沖でも緊張するのか、と視線を向ければ沖は苦笑いを浮かべた。
「俺でも緊張ぐらいすんだかんな。」
「珍しいね。」
ふふっ、と笑えば沖はムッ、と口を尖らせる。最初に会った時が会った時だったから緊張も倍なのだろう。こんな沖も珍しいもんだ、と内心笑みを零した。
「そんな緊張しなくたって大丈夫だよ。」
そう声をかけてドアを開けた。その瞬間美奈子さんのお帰り~、という嬉々とした声が聞こえる。どれだけ楽しみにしていたのだろうか。
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