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靴を脱いでリビングへ行けばにっこり、と満面の笑みを浮かべた美奈子さん。俺の後からリビングに入ってきた沖を見つけて更に笑みを浮かべた。
「こんにちは!沖君!」
嗚呼なんかもう美奈子さんの目がキラキラしてる。沖なんて若干引き気味だ。
「こ、こんにちはっす。」
「ほら座って座って。奈緒君何か飲み物用意して頂戴!」
沖は美奈子さんに促されるままソファーに腰をおろして俺はコーヒーを入れにキッチンへ向かった。
毎度毎度思うけどホント全面的に可笑しい気がする。ここは俺の家なのに主導権を持ってるのは美奈子さんだなんて。まぁ、美奈子さんに逆らえないのも事実だ。
ぶつぶつと内心文句を言ってみてゆっくりとインスタントコーヒーを入れて美奈子さん達の所に持って行けば2人はすでに馴染んでいた。
「やべー美奈子さん超良い人じゃん。」
沖なんてこんな事を言ってのける。たったの数分で一体何があったのだろうか。謎である。
「沖君今日夕飯食べていきなさいよ~。私作るから。ね?」
「え?いいんすか?」
勿論よ~、と笑う美奈子さんに沖は、じゃあお言葉に甘えて、と夕飯まで一緒に食べるらしい。家の主のはずの俺の意見なんて聞きやしない。まぁ、2人仲が悪いよりはマシである。
「あ、奈緒の弁当作ってんのって美奈子さんっすか?」
沖が思い出したように聞いて美奈子さんはにっこり、と頷いた。
「そうよ~。奈緒君の家に泊まった時だけしか作れないけど。」
「凄いっすね。いつも美味そうっす。」
「そんな事ないわよ~。もう沖君ったら~。」
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