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ワシントン中心部のそびえたつ50階建てのタワーマンションの27階のとある一室に二人は住んでいた。
俺、セルガ・ディオルは本部での仕事を終え、帰宅の途についていた。年齢35才。ワシントン本部で一定の地位を築いているが、未だ独身を貫いている。そんな俺には帰宅を待ってくれる一人の少女がいた。
[Celga. Welcome back]「セルガ、おかえり」
[Yeah, I’m back]「ああ、ただいま」
彼女の名前はアヤカ・ノノムラ。18才。生まれも育ちも日本の純日本人だ。俺は日本語を話せるので、部屋ではアヤカに合わせて日本語を話している。
アヤカは簡単な英語は普段から話すようにしていた。そんな彼女が何故、ワシントンの高級マンションの一室で俺を待っていたのか。それは簡単に人には話せないような複雑な事情があった。
「今日のディナーはステーキか。アヤカステーキ嫌いじゃないのか?」
「あんまり好きじゃないけど、偶に食べたくなるの」
アヤカは16才までは日本のオオサカという都市で住んでいた。学校の帰宅中、中国人に拉致されて人材売買の商品として海外に渡った。
そんな彼女はメキシコの麻薬組織に渡される直前に自力で脱走して、偶然メキシコとの国境付近で仕事をしていた俺に助け出された。
以後、俺のマンションがあるワシントンのマンションで家事をしながら、過ごしていた。本当はすぐに日本に帰す予定だったのだが、彼女の保護者との連絡が付かないので、日本帰還の予定は停滞している。
だが、アヤカは現在の生活を満足そうにしていたので、帰る気など毛頭ないようだ。
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