二人分の、

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二人分の、

柊が立ち去っても私はその場から動けずにいた。 そっか。なんだ。実果、片思いだし、絶対に叶わない恋してるんじゃん。幼馴染のくせに何も知らないで。可哀想に。馬鹿だなぁ。 そう思うとなんだか笑えてきて、だんだん泣けてきた。 可哀想で馬鹿なのは私も同じだ。私も柊を好きだったことに今気づいた。 私はかっこいい幼馴染が欲しかったんじゃない、柊の幼馴染でいたかったんだ。実果のポジションがすごく羨ましかったんだ。私もずっと柊に触れたり、近くで見たりしたかった。 馬鹿だなぁ、私。 これ以上はありえないくらいの失恋をした後に、それに気づくなんて。 柊への想いを自覚した今、朝の実果の言葉は私を牽制するものだったのだと分かる。実果はきっと私の気持ちに気づいていたんだろう。 でもそんな牽制、意味ないのに。 私たちの想いは初めから行き場なんてなかったのに。 私と実果、二人分の失恋は重すぎて、私は地面にしゃがみこむ。 横にはまだ捨てていないゴミ袋が転がっている。 私は空を見上げた。 空は小さく切り取られていて、ぼんやりと歪んでいた。 (了)
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