綺麗な花嫁さん

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綺麗な花嫁さん

旅館に帰った僕らを結衣と優花さんが待っていた。 「あれ…何処へ行ってたの?」 「結真とちょっと買い物にね。」 結衣と優花さんは顔を見合わせて… 「そうか〜結真と買い物やね。うふふ。」 「お姉ちゃんだったらまあいいかなぁ〜」 二人とも笑いながら結真を見ている。 「なんだよ。結衣と優花が長風呂だから付き合ってもらってたんだよ。」と照れながら怒った。 結衣と僕の部屋に集まって四人でトランプをして過ごした。結真と優花さんが部屋に帰ったあと、結衣とそれぞれの布団に入った。 結衣は離れて敷いてある布団をくっつけた。 「これで二人の間に距離はないよね。」 「くっつけなくても二人に距離はないよ。」 そう言って二人で笑う。 電気を消して、しばらくすると結衣が、 「ねえ、そっちに行っていい?」 「じゃあなんで布団をくっつけたの?」 また二人で笑った。 結衣が僕の横に入ってきた。僕は彼女をギュッと抱きしめた。結衣と一緒に寝るのは僕の部屋以外では初めてだった。 ピンポーン!チャイムが鳴る。 えっ…こんな時間に誰だろう? ドアを開けると結真と優花さんが浴衣姿で枕を持ってそこに立っていた。 「やっぱり二人きりはズルいよ。」 「ウチらも一緒に寝させてもらうわ!」 結衣は「もう。せっかく翔くんと二人で楽しかったのに!」と怒っていたが、布団をもう一つ出して四人で寝ることにした。 「もう。狭いよ!」「翔ちゃん。何処にいるんや。ウチはここやで。」「優花、それ触ってるのあたしの胸だよ。」 困った…明日は寝不足になりそうだな… そして朝を迎えて、僕らはウエディングイベントのお手伝いをすることになった。 最初は神社で和装の神前式をやるそうだ。 角隠しに白無垢の和装で優花さんが姿を見せる。 羽織袴の僕はマネキンと大して変わりないが、こんな綺麗な花嫁さんを間近で見られる機会はそうは無い。 「はぁ…あのモデルさん素敵ねぇ…」 「は、花嫁さんってあんなに綺麗なんだなぁ…」 イベントに参加しているカップルからも優花さんのあまりの綺麗さに溜め息が漏れた。 「翔ちゃん、ウチのこと幸せにしてや…あら…?」 僕はあまりの美しさにボーッとしてしまった… 普段でも優花さんと一緒に歩いているとみんなが振り返るのに彼女はきっと今、人生で最高の輝きを放っていると言っても過言では無い… 「うふふ…旦那様…よろしゅうお願い致します…」 「あ…は、はい!!」 僕はドキドキが止まらない。 神前式は三三九度を行う…三段の盃を一つずつ交代に三回にわけて呑んでいく…室町時代発祥だと言われる伝統の儀である… 一回…二回…盃を傾けて三度目に口にする… 新郎→新婦→新郎と交代に行うのが慣わしだが最近では簡素化されて新郎から新婦へといったところが 普通だとか。まあ…こういう格式高い結婚式も珍しいのではないだろうか? 一生に一度のビッグイベントだから想い出には良いかもしれない。 僕と優花さんは無事一通りの作法を済ませて無事に神前式が終わった。 「これでウチと翔ちゃんは晴れて夫婦やな。 あなた、ご飯にしますかそれともお風呂にしますか?それともウチと子作りを…」 あの…優花さん、次はガーデンに移動しますよ…
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