3人が本棚に入れています
本棚に追加
変化
優花は陽子に詰め寄る。
「ちょ、ちょっと待ってよ。私もまだ詳しくは知らないんだけどアメリカのプロデューサーだか何だかが、桜のライブ映像を見て結真に興味を持ったらしいの。
で、一度会いたいんだって。それってつまり引き抜きでしょ。だから可能性があるってことよ。本人もまだ知らないから言わないでね。分かった？」
「でもウチは親友やで。それに恋のライバル…それはちょっと置いといて…steedはどうするんや、
ギタリストがおらへんバンドなんて聞いたこと無いわ。」
「だからまだ何にも決まってないんだから…私だって急に結真が抜けたら大変だよ。」
「そらそやな…すんまへん。」
「さあ、これからスタジオで次のライブの音合わせだよ。もうチケット売れてるからね！！」
宮崎家では雪が親父さんのご飯をよそっている。
「はい。父さん。」「おう！！ありがとよ。」
「最近元気そうで嬉しいわ。翔くんのおかげね。」
「また翔の話かい。お前よっぽど惚れてるな？」
雪はちょっと赤くなって「な、何言ってるのよ。あの子は年下よ。それに彼、すごくモテるわよ。こないだ三人も女の子が店に来て翔くんのこと訊いてきたわよ。」
「そりゃアイツは優しいからな。女はコロッといっちまうだろう。それくらいの甲斐性があるほうがいいぜ。」
雪は一瞬、結真のことを思い出した…
しかしすぐに翔の顔を思い浮かべて「でも、翔くんって本当にすごいわ。真面目で思いやりがあって、頑張り屋で…」と翔を褒めた。
「じゃあ、休みにどこか一緒に行ってやれよ。」
「そうね。じゃあ今度、彼に行きたい所を聞いてみるわ。」
雪はまた神社でギターを弾く。「あれ？」
いつもと音がちがう事に気付く。
私、自分の音が嫌いな筈…悲しい音が少しだけ優しい音に変わっている…これって…
雪は一瞬考えて…
「まさかね…」
最初のコメントを投稿しよう！