お見舞いの花

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「――藍堂さん、またお花、届いてますよ〜」  その翌日、まだスイセンが生き生きと花を咲かせているというのに、またしても看護婦さんが花束を持ってきてくれる。  彼女の話では、やはり会社の者が受付に来て、その花だけを置いて行ったらしい……なんだろう? 昨日来たやつらとはまた別の同僚達か?  今度の花は昨日と打って変わり、少々小ぶりな濃い青色の花弁で、真ん中の部分だけが白くなっている花である。 「だから、こういうのは逆に迷惑だって言ってあるのに……なんて花だ?」 これはあまり見たことのないもので、花に疎い私にはなんだかわからない。 「さあ? わたしもそんな詳しい訳じゃないので……」  看護婦さんに訊いても、今回はスイセンのように蘊蓄はおろか、名前すら出てこなかった。  同室の患者達にもそこまで花に詳しい者はおらず、一応、訊いてみたがやはりわからない。  が、偶然、他の患者を診に来た女医さんが趣味でそちら方面(・・・・・)に詳しかったらしく…… 「ああ、それはアンチューサね。和名はウシノシタクサ。葉っぱをポプリなんかに使うのよ。わたしも一度作ったことあるわ」  ………と、教えてくれた。  なるほど……確かにこれもなにやら香りが強い。 「それじゃ、スイセンと一緒に生けておきますね」  まあ、匂いは強いが見た目は可愛らしく、見ていて悪い気はしない花である。一応、断りを入れる看護婦さんにその花も生けてもらって、私のベッドの脇は香りともどもさらに華やかになった。
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