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……だがである。
いや、もう薄々は予想していたことだが、その翌日も花束はわたしのもとへ届いた。
「――またですよ〜藍堂さん」
看護婦さんも、こうなると最早少々呆れ気味に持ってくる。
今度のは、オレンジの小さな花弁がいっぱいあるものだ。
「まあ! それはキンセイカねえ。この花びら、サフランの代用品に使われたりもするらしいわよ」
これまでのように看護婦さんからそれを受け取ると、同室のおばさんがそう教えてくれた。やはり女性は花が好きなのか、そこまで花に詳しくなくとも今度のものは知っていたらしい。
キンセイカ……それも名前くらいは聞いたことあるが、これがそうか……まあ、色的には確かにサフランに似てなくもない。
「またいっそう豪華な花瓶になりましたね〜」
これも看護婦さんがこれまでの花と一緒にしてくれて、ただでさえ鮮やかだった窓辺の景色に、今度はオレンジの色も新たに加わった――。
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