ハウスマヌカン

3/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
 私、今、どこにいると思う?  タラップよ、タラップを降りてるの。  そしてパリシャルルドゴール空港に降り立ったの。  それでね、シャンゼリゼ通りのモンマルトルカフェでお茶することになっちゃった。  これってすごくない!って言うか、この方、やることがぶっ飛びすぎ!  チョー素敵!ってこんなことで喜ぶ私ってやっぱり俗な女なのね。  でも、やっぱり私、第一にこの方の陰のある所が好きなの。  そこんところは絶対にぶれないわ。  過去にきっと辛いことがあったんだわ、この方。   でも、その逆境を乗り越えて今があるのね。  そして猶もニヒルな雰囲気を漂わす。  これって本物よね。  私の目に狂いはなかったわ。  はあ、本物と言えば、発祥はイタリアだけど、やっぱり本場は違うわ!あわあわしてて口当たりが柔らかでほんとにおいしいわ、このエスプレッソ。  正確にはカフェマキアート。  フォールドミルクが巻くように浮いてて芸術品って感じ。  だからカフェマキアートって言うのね。なんちゃって!  なんて思っていると、あーら不思議!フォールドミルクがハート型になっちゃった!  それにハートフルな縁を感じて見入っていると、彼ったら君のこと、素敵なハウスマヌカンだと思ってたよですって! 「ハウスマヌカンですか?」 「そうさ、僕は嘗てレトリックを尽くして民衆の心を奪ったソフィストを非難したソクラテスと同様に綺麗事を濫用する偽善者を非難する立場にあるから真心を込めてハウスマヌカンという死語を敢えて使って君を讃美したのだが、君はハウスマヌカンと呼ばれるのは嫌いかい?」 「いえ、好きです。」 「それは本当かい?」 「ええ、私、ハウスマヌカンって言葉が好きなんですもの。」 「やっぱりそうか、でも、ハウスマヌカンのままではいたくないだろ。」 「はい!」 「じゃあ、突拍子もないことを言うようだけど、僕のワイフになってくれるかい?」 「えっ!わ、私でいいんですか?」 「勿論さ!」  うわーい!やったー!  てなわけで大団円になったのでした。  おしまいおしまい。  パチパチパチ!
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!