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“__……水脈”
先程から私の名前を呼ぶ声に振り返ると、割れた頭から血を流し全身真っ赤に染まった太陽が後ろに立っている。
「……太陽。ごめんね。だって、これしか方法がなかったの」
__階段から転ぶふりをして、助けようとした太陽を突き落とすしか……。
だけど、こんな奇跡が起こるなんて私自身が一番驚いている。
霊の存在なんて信じていなかったし、最初はただ殺して私だけのものにするのが目的だったから。
__まさか死んでから、私に憑いてくれるなんて……。
「……この上ない幸せだよ?」
後ろでヌボーッと突っ立ったままの太陽に近づくと、その頬に手を伸ばす。
しかし、相手は幽霊。
触れることができないのが、唯一惜しまれるけれど側にいてくれるだけでいい。
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