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「ねえ? 向日葵の花言葉を知ってるでしょ?」
霊となった太陽はどうやら上手く言葉が話せないのか、譫言のようにただ何度も「……水脈」と、呟いている。
__私の名前だけを囁いてくれる。
そんな姿も愛しくて、恨めしそうにジトリと見つめる瞳にそっと優しく微笑む。
「……向日葵の花言葉は「あなただけを見つめる」だよ?」
__私はこれからも、あなただけを見つめる。
__そして、あなたも私だけを見つめてくれる。
「……太陽。愛してる」
そっと呟くと、後ろから肩を叩かれる。
「……水脈」
心配そうな顔の母には、私が明後日の方向を見つめる理由は言えない。
だから、そっと微笑む。
「大丈夫だよ」
__だって、愛する人が永遠に私のものになったのだから。
おわり。
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