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「……太陽」
確かめるように冷たい頬に触れ名前を呼んでみるけれど、目を覚ますことはない。
__太陽は、確かに死んだ。
「……おばさん。このお花を入れてもいい?」
黒い着物に身も心も包まれた太陽の母親が、この手に持っていた一輪の花を見ると力なく微笑む。
「……勿論よ。……きっと、太陽も喜ぶと思う」
「……そうだといいな」
と、呟きながら太陽の手元にそっと花を添えると母は隈のできた目元を、ハンカチで押さえながら震える声で言った。
「……太陽には、向日葵の花がぴったりよね」
「……うん」
そっと唇を噛み締めながら、私はもう動かなくなってしまった太陽の安らかな顔を見つめる。
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