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「……まさか、階段から落ちて亡くなるなんて。本当にバカなんだから」
しかし小さく呟いたおばさんの声に心臓がドクリと跳ねると、微かに震える唇に力を入れる。
__本当。太陽はバカだ。
こんなにも、みんなに愛されているのに……。
「太陽! 太陽っ!」
突然、この場の空気を切り裂くような悲痛な叫び声に私は小さく息をついた。
「……琴音先輩」
長い黒髪を振り乱しながら棺に抱きつく背中をそっと撫でながら、ザワザワと騒ぎだすこの心を自分自身で沈める。
__琴音先輩は、同じ高校の一つ上の先輩。
__太陽の愛する彼女だ。
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