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「……少しだけ太陽と二人きりにさせてもらえませんか?」
すると、おばさんも母も気を利かせてくれたようで速やかに休憩室へと消えていく。
その姿を見届けると、私はまた棺の前に膝をつき日の光に翳すと透ける色素の薄い髪を、そっと撫でる。
「……ねえ? 太陽」
名前を呼びながら、冷たい唇に自分の唇を優しく重ねる。
すると、また太陽の声が聞こえる。
「……だって、太陽が悪いんだよ?」
ずっと一緒だと約束したのに、琴音先輩なんかを好きになるから。
「……本当、バカだよね」
みんなから愛されているのに、琴音先輩だけを愛そうとするなんて……。
「……私はずっと太陽が好きだったのに」
冷たくなった手に、この手の温もりを移すと頬擦りをする。
その度に、触れる向日葵の花は太陽じゃない。
__私自身だ。
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