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放課後いつものように庭園の前に行ったら、知らない男ども数人に囲まれた。一体なんだっていうんだ。逃げようと思えば逃げられるが、いちいち人数を相手にするのは面倒だった。よく喧嘩してたのは小学校の頃までだったなと懐かしく思う。そういえばあいつどうしているんだろうと、小学校時代の友達を思い出した。
しかし、これは有田の指金ではないだろうか。今日まで絡まれたことなんてなかったのに、突然こんなことになるのは、明らかにおかしい。
ひとまず自分からは手を出さず、攻撃を避けることに集中した。
すると、急に変な声が後ろから聞こえた。
「良和くーん、今日予定ある? 一緒に遊ばなーい?」
笹本の声だった。この前とあまりにも違う口調や態度に脱力する。絶対わざとだと思った。
案の定、俺に絡んできた奴らは度肝を抜かれたような顔をしている。
「なんか馬鹿らしくなってきた」
俺はため息をつき、絡んできた奴らからすり抜けて、笹本の後に続いた。
そいつらは慌てて追いかけてこようとするが、俺たちが人ごみに紛れたらあきらめて踵を返した。
「なんださっきの?」
と一応聞いてみると、
「馬鹿って思わせておいたほうが都合がいいだろ」と言う。
「そういうもん?」
「お前も馬鹿正直に生きるのはやめた方がいいんじゃないか」
とそんな風に言われた。馬鹿正直と言われて苦笑する。
「で、わかったのか?」
「何が?」
「今のやつらの裏にいるやつ」
実際はまだはっきりとはわかっていないが、俺ははったりで口にした。
「有田正平」
確信はないが、それしか考えられない。
「一応調べてはいたんだな」
その言い方に含みを感じる。
「何が言いたい?」
やっぱりこいつはなんか気に入らない。
「主席っていうから、もっとできる奴かと思ったけど」
「悪かったな。頭でっかちで」
俺が笹本をにらみつけると、
「そこまで言ってないけどな」
とにやにやとする。やっぱり何か気に入らない。
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