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すると、突然変なことを言い出した。
「俺とお前で組めば、世界を掌握できると思わないか?」
「は?」
いきなり世界とか言われても、正直わけがわからない。危ない奴かと思う。
「この程度のことも掌握できないなら、まったくもって甘いけどな」
「さっきから批判したり、変なこと言い出したり。世界?」
俺はきな臭い話に付き合う気はなかった。
「世界を裏から動かしている奴がいるとしたら、どうする?」
さっきから何を言っているのか。全くついていけない。
「官僚とか、内閣とかのことじゃなくて?」
「そんなちっぽけな島国のことじゃない。世界だよ」
自分が住んでいる国をそんな風に表現するのはおかしいと思った。
「何? お前どこかの血が入ってるのか?」
「いや。残念ながら日本人だよ。生粋の」
生粋かどうかは正直どうでもよかったが。
「ちなみに、親とか親戚に実際に日本を動かしている奴らもいるけど」
家族に官僚か政治家がいるということだろうか。笹本の話は要領を得ない。
「もし未来が見えるとしたら、災害や、株価の行方、世界の情勢まで簡単にわかるだろ」
「は?」
また変なことを言い出す笹本に、あきれて聞き返す。
「俺に聞き返してばかりでちょっとは自分で考えようともしないんだな」
そんなことを言われてもと思う。未来が見えるなんて、何か怪しい宗教でもやっているのかと疑いたくなる。
「俺の精神が異常かどうか疑っているなら、あいにく正常だよ」
俺は仕方なく話に乗った。
「もし、未来なんかが簡単にわかるなら、金持ちになり放題だろうし、確かにお前の言う通り世界の情勢を握れるかもしれないな」
せっかく話に乗ってやったのに、ついて出てくるのは意味不明の言葉ばかり。
「それが、どいつもこいつも揃ってそんなことには力を使えないって言うけどな」
「え?」
「世の中には理屈で説明できないことも数多く転がっているってだけの話さ」
それ以上説明する気はなさそうだった。結局何が言いたいのか全くわからなかった。
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